観光客数は“過去最多”。その裏側で浮き彫りになる草津町の課題

年々観光客数が伸び続ける草津温泉
年々観光客数が伸び続ける草津温泉

昨年度、草津温泉の観光客数は過去最多の400万人超。 街はかつてない賑わいを見せ、新たな魅力を求めて訪れる人が増え続けています。
しかし、その一方で地域住民の減少が進行し、人口はおよそ6000人と、この10年で約1割が減少。観光需要が高まるほど、宿泊施設や飲食店、観光事業者を支える人手不足は深刻さを増しています。

番組では、こうした状況に対し「温泉だけでなく“人の魅力”を知ってもらうことが、草津への関心を高める一手になるのでは」という切り口で、「くさつびと」の活動を紹介。代表の後藤が草津温泉に毎月訪れるようになり、「くさつびと」が地域の人々の温かさに触れた経験から生まれたアイデアであること、そして、草津で働く人のストーリーが見えることで、関係人口の増加につながる可能性がある、という思いが語られました。

老舗居酒屋の親子、移住者のカフェ——草津の“あたたかさ”をつくる人々の姿

今までジャンル問わずさまざまな「くさつびと」を取り上げてきた
今までジャンル問わずさまざまな「くさつびと」を取り上げてきた

番組中盤では、「実際に草津で働く人たち」の姿が次々と映し出されました。ここで紹介された方々は、「くさつびと」でも取材をさせていただいた、まさに“草津の魅力をつくる人”たちです。

吉田さん親子の老舗居酒屋

常連客との会話が弾む「いざかや水穂」の吉田健次さん
常連客との会話が弾む「いざかや水穂」の吉田健次さん

創業から長く続く「いざかや水穂」を営む吉田さん親子。 “初めて訪れた方も、何十年来の常連も等しく迎える”という姿勢を大切にしており、店内には自然と笑い声が広がっています。

番組では来店客から、
「初めてでも挨拶してくださって、とても嬉しい」「ちゃんとお客の心を掴んでくれるから気に入っている」 といった声が寄せられていました。

吉田さん自身も、
「どこに行っても草津の人はあったかいと言われるような場所にしたい。その一人になれればうれしい」
と伝えています。

その言葉が示すように、吉田さんの接客は“お店のサービス”にとどまらず、草津という町の温かさそのものを体現しているかのよう。

さらに、
「草津にいる“人”の部分を紹介してくれているので、すごくいいなと思います」
と、「くさつびと」の取り組みに対する率直な思いも聞かせてくださいました。

草津に「来てよかった」と思ってもらえる雰囲気づくりを大切にする吉田さん
草津に「来てよかった」と思ってもらえる雰囲気づくりを大切にする吉田さん

東京から移住しカフェを開いた森田さん

サイフォンでこだわりのコーヒーを淹れる森田耕さん
サイフォンでこだわりのコーヒーを淹れる森田耕さん

続いて紹介されたのが、東京から移住して「森田コーヒー」をオープンさせた森田さん。
草津温泉に遊びに来ていた頃から「優しい人が多いなという印象があった」 と語り、移住後にはさらにその思いが確信に変わったといいます。

森田さんは、
「実際に住んでみると、みんな『よく来てくれたね』と自然に声をかけてくれる。外から来た人にも構えずに受け入れてくれる」と草津の魅力をあらためて言葉にしていました。

さらに、
「草津温泉に来てよかった、と感じてもらえるような体験を提供したい。できれば移住を考える人が増えるとうれしい」と語る姿からは、地域の未来をより良くしていきたいという前向きな思いが伝わってきます。

老舗を守る親子と、新しい挑戦を続ける移住者。異なる背景を持つ二つのストーリーが並ぶことで、草津の“人の多様性と温かさ”が浮かび上がる構成となっていました。

草津で「明るい未来をつくっていきたい」と語る森田さん
草津で「明るい未来をつくっていきたい」と語る森田さん

人を知れば、町がもっと近くなる。未来につながる関係人口づくりとしての可能性

「くさつびと」持続可能な形で町を発展させるためのツールであり続けたい
「くさつびと」持続可能な形で町を発展させるためのツールであり続けたい

番組の最後では、「くさつびと」が描こうとしている未来像にも光が当てられました。地域の人々の顔が見え、ストーリーが伝わることで、 観光客が“訪れるだけの関係”から一歩進み、「また会いに行きたい」「いつか住んでみたい」という感情が育つ——。

それこそが、“関係人口”という視点で見たときの、この取り組みの大きな価値です。

働き手不足、若い世代の定着、移住促進——。これらは一朝一夕で解決できる課題ではありません。しかし、「くさつびと」を通じて草津を支える人の魅力が伝わり、町に対して「知っている人がいる」という安心感や親近感を持ってもらえるなら、それは確かな一歩になるはずです。

この特集は、私たちの活動が“まちの未来づくり”へつながる可能性を持つことを、外からの視点で示してくれた内容でした。

番組が映した、草津の魅力を形づくる人たちの姿

今回のNHK特集では、草津の人々が日々紡いでいる温かな言葉や姿が丁寧に描かれ、画面越しにも“草津という街は、人によって形づくられている”ことが伝わる内容でした。

特集をきっかけに、「くさつびと」の取り組みを知っていただく機会が広がったことは、今後の活動を続けていくうえでも貴重な一歩だと考えています。

今後も、草津で働く人・暮らす人の魅力を丁寧に伝えながら、地域の未来をともにつくる一助となれるよう取り組みを続けていきたいと思います。